税理士試験

商業高校出身は税理士試験に有利なのか?

nancoblog

筆者は商業科の高校を卒業しています。
また、令和6年に税理士試験の簿記論に合格しました。

今回は「商業高校出身の受験生は税理士試験に有利なのか」についてお話ししたいと思います。

※考え方は人それぞれのため、あくまで一つの意見として参考にしてください。

結論

結論として、商業高校出身だからといって、税理士試験の合格に有利に働くことはありません。ただし、全くのゼロ知識から税理士の勉強を始める人に比べたら、有利であると思います。

しかし、そのような受験生は皆無に等しいので、実質的には有利でないと言えるでしょう。

商業高校のラスボスは日商簿記2級

商業高校生にとって、一番のラスボスは日商簿記2級です。

殆どの生徒は、卒業までに日商簿記3級に合格します。
しかし、レベルがワンランク上がるだけで多くの脱落者を生み出すほど、商業高校生にとって日商簿記2級は難関資格なのです。

簿記2級には連結会計や本支店会計のみならず、新たな科目として工業簿記も加わります。
そして簿記3級で学習した論点も、より高度な知識が求められるようになります。

30人程度のクラスの中で、卒業までに簿記2級に合格したのは5~6名程度だったと記憶しています。
そもそも、簿記3級に合格した時点で、簿記の勉強を卒業した同級生も多くいました。

これに対し、簿財は簿記2級の知識がある事を前提に、講義が進みます。
これに加え、法人税法や消費税法も、上記と同様の知識が求められるそうです。

また、税理士受験生の殆どが簿記2級レベルの知識を持っています。
したがって、商業高校出身の背景が受験生の中で有利に働くとは言えないでしょう。

全商簿記検定では力不足

商業高校生が受験する最もメジャーな検定として、全商検定が挙げられます。
受験性の大半を商業高校生が占める、進学や就職のための検定です。

そんな全商検定の科目の一つに、全商簿記検定があります。
難易度としては、簿記3級に毛が生えた程度の知識が問われます。

基礎的な連結や一般原則を問われるので、簿財の片鱗を味わうことはできるかもしれませんが、実際の税理士試験の難易度と比較しても、参考になるとは言えません。

また、全商簿記1級は、日商簿記2級よりも出題範囲が狭めです。
例えば、筆者が勉強していた頃は、本支店会計が試験範囲に含まれていませんでした。

簿記論で本支店会計が出題されたら、基本的に正解しなければなりません。
したがって、全商簿記1級レベルの知識では、税理士試験の講義を理解するのに少々物足りないと言えます。

勉強の習慣が身についていない

ぶっちゃけ、全商検定の大半は、50時間も勉強すれば合格水準に達します。

授業ではインプットに加え、問題演習の時間も設けられているので、2週間前から自宅で勉強を始めれば、基本的に合格できるでしょう。

これに対して税理士試験は、合格に多くの勉強時間を要します。
登竜門である簿財でさえ、800~1200時間は必要になります。

筆者は現在、国税徴収法の勉強をしています。
この科目は、合格に必要な勉強時間が短めではあるのですが、筆者が取得した全商検定の勉強時間を全て足しても、合格水準には及ばないと断言できます。

こういった点では、大学受験の経験があり、勉強の習慣が身についている人の方が有利であるといえます。

おわりに

以上のことから、商業高校を卒業したからといって、税理士試験に有利とは言えません。
しかし、だからといって不利に働くことはないと思います。

例えば、先ほど勉強の習慣について触れました。

筆者も高校時代、テストは一夜漬けで、検定試験も1か月ほど前から対策していました。
(日商簿記2級は3か月くらい勉強しました。)

これ以外の時間は何をしていたのかというと、SwitchやYouTubeばかりやっていました。

しかし、税理士の勉強を始めてから2か月もすれば、勉強の習慣が身に付きました。
このように、勉強の習慣がなかったとしても、本気で覚悟を決めたものについては、ある程度の継続によって習慣化することができます。

ただ、継続するためにはモチベーションも大事な要素になります。
自分にとってつまらない物をやり続けるほど、苦痛なことはありません。

そのため、まずは日商簿記2級に挑戦してみて、そこで簿記が面白いと感じたら、税理士試験に挑戦してみるのが良いと思います。

今回の記事は以上となります。

この記事を書いている人
nanco
nanco
税理士受験生
税理士を目指している大学3年生。
大学2年生から税理士試験の勉強を始める。

令和6年 簿記論に合格。
令和7年 財務諸表論・国税徴収法に挑戦。

税理士になるまでの備忘録や日常の出来事を発信していきます。
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