税理士試験

【簿記論】「問題の取捨選択」のやり方について解説します。

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はじめに

簿記論に限らず、税理士試験では「問題の取捨選択が重要」と言われています。
それは、採点方法が不明であるものの、基礎論点の正答率が高い人が合格する傾向にあるからです。

しかし、この取捨選択の仕方が分からず、不安を抱えている初学者が多いのも事実です。
そこで、簿記論の第3問を前提に、取捨選択のやり方を解説します。

第1問~第2問の取捨選択について

第1問~第2問の取捨選択は正直なところ、経験でしか身につけられません。
しかし、答練や過去問演習を重ねれば、自ずとできるようになるので安心してください。

ただ、どんな問題であれ、以下の事は守ったほうが良いです。

連結・デリバティブ取引といった難解な論点に執着しすぎない!

簿記論の個別問題は大抵、どちらか片方が難しく作られています。

もし、上記をはじめとした複雑な論点が出題されたら、最悪全捨てするか、一部の基本的な問題のみ解答して、もう一つの問題に移りましょう。

この方法でも、問題なく戦うことができます。

取捨選択のやり方とは

結論から言うと、簿記論における「問題の取捨選択」とは、下記の事を指します。

簿記2級でも学習した基礎論点を最優先に解答する。

これから詳しく紹介します。

手を付けるべき問題①

まず、初めに手を付けるべき問題は、簿記2級でも扱った論点になります。
ここは、よほどの事がない限り正答できるように仕上げなければなりません。

現金及び預金

現預金は、簿記3級から学習する論点です。
銀行勘定調整表や、現金実査などがこれに当たります。

この論点は稀に、えげつない難易度の問題が出題されますが、基本的にそれほど難しいことは問われません。

仕訳が思い浮かばなくても実際の金額さえ分かれば、正解できます。
ただし解答に時間がかかる問題も多いので、筆者は終盤に回していました。

有価証券

有価証券は、簿記2級から学習する論点です。
時価評価や減損に加え、償却原価法といった内容が出題されます。

税理士試験においても簿記2級に毛が生えた程度のレベルなので、基本的には正解しなければならない論点となります。

筆者は後ろの方から解いていたので、この論点は中間ぐらいで手を付けていました。

固定資産の減価償却

減価償却は、簿記3級から学習する論点です。
基本的に売却や除却、買い替えといった取引の修正仕訳と絡めて出題されます。

稀に取得原価が不明な問題もありますが、一次方程式が分かれば何の問題もなく解けます。

こちらも中間ぐらいで手を付けていました。

賞与

賞与は、簿記2級から扱う論点です。
基本的には、賞与引当金の計上が出題されます。

特段難しい内容は出ないので、月割計算と勘定科目をマスターしていれば余裕で正解を狙えます。

こちらは短時間でほぼ確実に正解できるので、優先して解答していました。

退職給付

退職給付は、簿記2級から扱う論点です。
簿記2級では問題に金額が与えられますが、税理士試験では自力で計算しなければなりません。

しかし一度要領をつかめば、そこまで考えずに正答できる論点になります。

こちらは後半に出題されることが多く、そこまで難しくないので、基本的に優先して解答していました。

手を付けるべき問題②

この他に手を付けるべき問題として、簿記論で初めて学習した問題が挙げられます。

ただ、全てを解くわけではなく、基礎的な知識で解答可能な問題のみを選ぶことに注意しましょう。
また、簿記2級で扱った論点が最優先である事を忘れないよう、注意しましょう。

具体例を挙げるとすると、新株予約権などがこれにあたります。

手を付けるべきでない問題

筆者が基本的に手を付けなかった問題は、次のものになります。

・解答に大きな時間がかかる問題

・他の論点と結びついている問題

・計算が複雑な問題

上記について、具体例を紹介します。

期末商品の計算

期末商品の論点は、簿記3級から学習する論点です。
簿記学習者おなじみの、「しーくりくりしー」になります。

こちらは問題資料が読み取りづらかったり、計算が複雑だったりするので、基本的に無視していました。

ただ、商品評価損や棚卸減耗費のどちらかが即答できる問題もあるので、一度は問題を確認するようにしていました。

貸倒引当金

貸倒引当金は、簿記3級から学習する論点です。

しかし、売掛金や受取手形はここだけでなく、別の論点にも登場します。
例えば、現金預金での修正仕訳が挙げられます。

現金及び預金は仕訳がわからなくても、実際の金額さえ分かれば正答できます。
しかし貸倒引当金は、債権の仕訳が正しく行えてなければ、そもそも求めることができません。

簿記論で売上債権をミスなく計算するのは結構難しいので、基本的にこの論点はパスしていました。

ただし、破産更生債権等や貸倒懸念債権については、問題の中に与えられている金額のみで解答可能な事が多々あります。

そういった所はなるべく見落とさないように、注意していました。

税効果会計

税効果会計は、簿記2級から学習する論点になります。

まず、税効果は多くの論点と絡めて出題されます。
税効果の対象となる各論点の金額を一つでも間違えると、正解を出すことはできません。

また、時間や難易度、労力に対して埋められる項目数が1~2つと、非常に少ないのも特徴です。

したがって、よほど簡単な問題でなければ、捨て論点として扱っていました。

おわりに

いかがでしたか。

少なくともこれらの問題を合わせるだけでも、25点くらいは確保できます。
合格を狙うにあたっては、十分な出来といえます。

ただ、「言葉だけだと分かりづらい」という方もいらっしゃると思います。
そこで、次回は過去問を使って、実際に取捨選択の実況を行ってみたいと思います。

今回の記事は以上となります。

この記事を書いている人
nanco
nanco
税理士受験生
税理士を目指している大学3年生。
大学2年生から税理士試験の勉強を始める。

令和6年 簿記論に合格。
令和7年 財務諸表論・国税徴収法に挑戦。

税理士になるまでの備忘録や日常の出来事を発信していきます。
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