『簿記論』の受験を考えている方へ
『簿記論』の受験を考えている方の力になれたらと思い、この記事を作成しました。
学習開始前の皆様の参考になると幸いです。
ちなみに、筆者は第74回税理士試験で『簿記論』に合格しています。
※考え方は人それぞれのため、あくまで一意見としてお読みください。
出題形式について
この科目は、計算100%の試験です。
税理士試験の中では唯一の出題形式です。
問題構成は3問形式となっています。
・第1問→個別問題(学者が出題)
・第2問→個別問題(学者が出題)
・第3問→総合問題(実務家が出題)
また、時間内に解答しきれない量の問題が出題されます。
そのため、基礎的な問題の精度と、問題の取捨選択能力が求められます。
※『問題の取捨選択』については別の記事で紹介します。
必要な勉強時間は?
簿記論単体に必要な勉強時間は、600~1000時間程度と言えます。
予備校のパンフレットでは、450時間程度と記載されていますが、この時間で合格される方は中々いません。
また『財務諸表論』にも計算問題が出題されます。
しかし、財務諸表論の計算問題は、簿記論よりも簡単です。
したがって、この2科目を同時に学習することで、学習時間を短縮することができます。
時間とお金に余裕があれば、同時学習することを強くおすすめします。
ちなみに、筆者は簿財同時に学習を行い、約1725時間勉強して受験しました。
結果的に財表には不合格となりました。
しかし、一般的には1200時間程度でも十分合格レベルに到達するそうなので、ここまでやる必要はないと思います。
独学で合格できる?
独学でも十分合格可能であると思います。
しかし、本気で合格を目指すのであれば、資格予備校の利用をおすすめします。
筆者は、独学だと挫折するのが目に見えていたので、LECの講座を受講しました。
学習前は簿記一巡も知らないレベルだったものの、本試験前には過去問でボーダーラインを超える実力を手に入れることができました。
このように、予備校に通い、カリキュラムに従って学習を進めれば、よほどの事がない限り十分な実力をつけることができます。
難易度について
筆者は院免除を考えているため、細かな難易度の比較はできません。
しかし、受験生からは「税法科目の方が難しい」と評されるのが一般的です。
現在、筆者は国税徴収法を勉強中しています。
その上で、理解することの難しさを比較するなら
国税徴収法>簿記論
であると断言できます。
簿記論は日商簿記の知識を活かせたので、すんなりと講義内容を理解することができました。
しかし、講師によると「簿記論残し」と呼ばれる受験生もいるようです。
税法科目に合格しているにも関わらず、最後まで簿記論の合格に苦戦する方のことを指します。
このように、人によって向き不向きが大きく分かれる科目でもあります。
比較的簡単な科目と言っても、学習方法や本番の解答戦略を誤ると、受験が長期化してしまうことも念頭に置いておきましょう。
勉強するうえで大事なことは?
勉強するうえで大事なことは、簿記一巡の理解と、基礎論点の正答率です。
日商簿記2級までなら、仕訳のパターン暗記で合格することは可能です。
しかし、簿記論にそれで挑むと、間違いなく受験は長期化します。
そのため、簿記一巡の手続きの理解は非常に重要であると言えます。
簿記一巡は多くの予備校で最初に扱う論点であり、日商簿記2級でも学習する知識です。
・開始手続ではどのような処理を行うのか?
・なぜ、再振替仕訳を行うのか?
・損益振替仕訳のタイミングは?
・なぜ、損益振替仕訳を行うのか?
・当期純利益を計上するのはいつ?
こういった事を理解しているだけでも、講義内容の理解度合いに雲泥の差が生まれます。
基礎論点だからと言って疎かにせず、むしろ時間をかけて理解すべきです。
また、税理士試験の採点はブラックボックスです。
しかし、全体的に基礎論点の正答を積み上げた人が合格しやすい傾向にあるようです。
そのため、本試験では難解な論点に執着しすぎないことが重要となります。
合格の可能性を高めるためにも、基礎論点の精度をしっかりと高める必要があります。
今回の記事は以上となります。